高校野球に広がるタイブレーク化の流れ。目的と体験者の言葉。

 

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高校野球界でたびたび話題になるタイブレーク制度。今夏は導入されないとのことだが,各地区大会や軟式部の大会では導入されているところもある。現場の指導者や選手,元高校球児などの反対意見が多いことはよく報じられているが,それでも推進していく流れになっているのはなぜなのか。改めてその意図を見ていきたい。


タイブレークの目的とは。

タイブレークを推進する一番の目的は,日程の消化にある。タイブレーク1回で勝負がつかないこともあるが,2回ではほとんどの試合で勝負がついている。今回のWBCにしてもそうだが,タイブレークが3回,4回と続くことはほとんどない。私はタイブレーク制のある小学校・中学校の大会も含めて,決着がつかなかったケースをほとんど見たことがない。再試合にもつれ込むケースはほぼなくなるといっても過言ではないのである。

運営側にいたことがある方はわかるであろうが,大会の日程が延びるということほど恐ろしいことはない。予備日で間に合えばいいが,それを使い切ってしまったときの手間ははかり知れない。引き分け再試合が大会の序盤で起きるなら修正が効く場合もある。甲子園でも一日3試合の予定を4試合に増やして対応することはよくある。しかし日程的に詰まってくる大会後半は別だ。元々連戦予定の試合が伸びた場合は日程を追加するほかない。まだ記憶に新しい,3年前の夏の高校軟式野球大会準決勝の延長50回の末の決着。あの試合は決着まで4日を要している。実際に戦っている中京・崇徳両校はもちろん,決勝で待つ三浦学苑の選手たちとスタッフ,保護者。そして運営側。どれだけの経済的,心理的負担があったことだろうか。100%とは言えないものの,「試合が終わる確率」をはね上げるタイブレークは日程的不安を取り除く非常に有効な一手なのである。


現場にいる指導者が放った言葉。

 選手の体調面の考慮という面ももちろんあるが,これについてはやりようはたくさんある(例えばベンチ入りメンバー数を大学野球などのように25名にし,5名の補助選手を登録するなど)。その中でも現場では反対意見が多い案を取り入れようとするのは,体調懸念が第一理由ではないことを示している。

 最後に私の考えを示させていただくが,個人的には反対である。このままでいいとは思わない。なにかしらの対策を練らなければならないのは間違いない。しかし,やはり生徒たちの心情を慮ると,簡単に賛成とは言えない。

知り合いに,地区大会でタイブレーク制の末敗れた高校野球の監督をされている方がいる。その方が言っていた言葉が頭を離れない。

「自分になんの責任もない“ルール”のなかで出たランナーを還されて負ける。生徒はやっぱり納得できてないですよ。もちろん私も。これが夏の最後の大会ならば,私はやりきれない。」

どうかギリギリまで,「採用・不採用」の議論だけでなく,「代案」の議論が行われることを切に願う。

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