交流戦前のセ・リーグ戦線!上位の失速と下位の復調で混戦に?

交流戦まで残り1週間となっている。ここでセ・リーグの5月戦線を振り返ってみよう。

交流戦前のセ・リーグ戦線

4月終了時点(後ろの数字はゲーム差)   5月21日現在

1, 広島                 1, 阪神 

2, 阪神 1.0                              2, 広島 2.5

3, 巨人 1.5                              3, 巨人 2.0

4, 横浜 1.0                              4, ヤク 2.5

5, ヤク 2.0                              5, 横浜 0

6, 中日 0                                6, 中日 2.0

 

阪神が首位に浮上,ヤクルトが横浜に追いついた以外は全体としては差が開いている。

しかしこれを最近5試合に絞ってみよう。

 

ヤク 4勝1敗

中日 4勝1敗

阪神 2勝3敗

巨人 2勝3敗

横浜 2勝3敗

広島 1勝4敗

 

下位の2チームが復調してきているのがわかる。特にヤクルトは5月9日の広島とのカードより,カード負け越しがない。この期間に上位3チームすべてに勝ち越し,勢いに乗っている。

 

要因は2つある。1つは不信だった打撃陣に光が見えてきたこと。山田・バレンティンにあたりが出始め,雄平は安定して結果を出し続けている。これに打率は高くないながらもピンポイントで仕事をする大松など渋い働きをする野手が出始め,得点力が上がってきた。

もう一つ,中継ぎ投手の安定である。3,4月,ヤクルトは勝ちパターンの投手を決めきれずにいた。秋吉のみ安定していたが,それにつなげる投手がいなかった。それが,7回ルーキ,8回石山,それより早いときには近藤というリレーが決まるようになってきた。実はここまで先発投手のQS達成率は12球団で2位の61.90を記録。完投は小川の1回だけだが,後ろが安定するようになり,勝ちきれるパターンが増えてきた。個人的にはイニング途中は近藤,イニング頭ならルーキという起用での併用が一番合ってるように思う。

 

実はセ・リーグには,ここ5年でチーム中継ぎ防御率1位のチームが4回優勝しているというデータがある(残る1回も2位)。これはQS達成率1位のチームが優勝する確率よりもはるかに高い(QS達成率1位の優勝は2回)。どれだけ中継ぎ投手の安定感が大事かわかる数字である。

 

その視点で見てみると,首位の阪神はマテオ1.89,ドリス1.71,桑原0.93,岩崎1.53,高橋1.50という素晴らしい数字が並んでいる。20日のヤクルト戦後,金本監督は「中継ぎ陣はセ・リーグナンバーワン」というコメントを残しているが,あながち嘘ではない。若手とベテランの競演で野手のほうが注目を集めがちだが,岩貞,藤浪が活躍し始めると手に負えなくなる投手陣の陣容である。

 

また,4連勝中の中日もビシエド・ゲレーロの両外国人があたりはじめ,三ツ間,田島のパターンも決まり始めている。先発陣はバルデス,又吉,吉見,ジョーダンとコマはそろっているため,おもしろい存在になってきた。

 

横浜は配置転換の守護神・パットンがはまらず,逆に調子を取り戻した山崎康がまた守護神に戻ってきた。砂田は好調をキープしているため,この二人が復調すれば横浜も大きく変わってくる。リリーフは個性ある面々がそろっているため,はまれば後半に強くなりそうな気配はある。4試合を欠場した筒香の様子も気になる。

 

巨人は得点力が伸びない。QS達成率はリーグトップ,勝ちパターンのマシソン,カミネロは安定しているが,リーグ5位の得点力でなかなか波に乗れない。またマシソンにつなぐリリーフもおらず,中盤で粘れないケースも多い。阿部・坂本の調子が落ち始めているので,この2人が不調に陥ると一気にBクラスの危険が出てくる。横浜との3連戦で復調の気配を見せた長野がカギを握りそうだ。

 

心配なのは広島だ。5月6日の9点差逆転負け以降,5勝7敗となり,最下位中日に3連敗,対戦時5位だったヤクルトにも1勝2敗と負け越し。2位に約60点差をつけるダントツな得点力を誇るも,防御率はリーグ5位に沈む。昨年は防御率,QS達成率,得点,盗塁など多くの部分でリーグトップだったことを考えると,非常に不安定な戦いになっている。特に中継ぎ陣は今村,薮田など勝ちパターンで使う選手も防御率3点台。ジャクソンがずば抜けていいものの,上位争いをするには心もとない陣容だ。中田が適性を見せ始めているものの,上位で戦うには最低でもあと1枚出てこないと厳しい。復帰の中崎に期待が集まる。

 

交流戦前最後の1週間,ここでつまずくと悪い流れを交流戦まで引きずり,大ブレーキにつながりかねない。混沌の気配がし始めたセ・リーグ。大事な1週間になりそうだ。

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