東邦大逆転、事実上の決勝戦。その日、甲子園に22時間滞在した。

 

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2016年8月9日、私は甲子園にいた。東北高校VS横浜高校の試合を観戦していた。結果は横浜高校の圧勝。この時私は、密かにある思いを抱いていた。それは、横浜高校と履正社高校の対決である。

大阪の履正社高校を知らない高校野球ファンはいないであろう。現在はヤクルトに所属する左腕、寺島を擁し、大阪大会を勝ち上がってきた。一方の横浜高校は、現在楽天に所属する藤平を擁し、神奈川大会を勝ち上がってきた。両校とも、絶対的エースを軸にして勝ち上がったチーム。是非直接対決を・・・と願っていたその時だった。スコアボードに表示されたのは、8月14日(日) 第4試合 横浜-履正社の文字。私は、すでに前売りチケットでその日のチケットを買っていた。つまり、この試合を見る事が出来るということだ!

だが同時に、一つの不安が生じた。お盆・日曜日・好カードという条件が重なってしまったのだ。これは大変だ、何時に行けば良いのか・・・とにかく悩んでいた。


甲子園で夜を明かす

5日間悩みに悩んだ私は、23年の人生で初めて、甲子園で夜を明かすことを決断した。8月13日(土)、午後10時30分、甲子園到着。そこにはなんと、当日券を求めて既に長蛇の列が出来上がっていた。もし前売り券を買っていなければ、ここに並んでいたのかと思うと、今でもゾッとする。

無論、暑い夜だった。私は前売り券を所持していたため、入場門前にすぐ並ぶ事ができた。約20人前後の人がすでに列をなしていた。この日のために横浜から訪れた方、履正社のOBの方々など、それは多種多様な方々がそこにはいた。暑がりの私にとって、クーラーがない環境で夜を過ごすことは、本当に苦しいことだったのだが、なんとかこの苦行を耐え、朝を迎えることができた。

始発の電車が到着する午前6時ごろ。突如として、大勢の人が押し寄せた。そして共通していたことが、皆それぞれの表情が、驚いた顔をしていたことだ。無理もないだろう、始発で来ているにも関わらず、チケット売り場からの列は改札を出たすぐのところまで、およそ100mにまで伸びていたからである。改めて私は、自分の幸運さに気づかされた瞬間であった。

翌日午前7時30分に開聞。私はバックネット裏の席を確保する事が出来た。いわゆる影がある座席ということである。午前7時40分には、満員通知が発令されたという。大会期間中は毎日来るという方々と少しお話したのだが、その方々ですら「今日は異常だね」と口を揃える程の、人の多さだった。

異様な雰囲気、そして・・・

履正社と横浜の試合は第4試合。そこまでに3試合行われるが、1・2試合目はワンサイドゲームとなってしまった。そして第3試合、愛知の東邦高校VS青森の八戸学院光星高校の試合。この試合も9回表を終了し、5-9で光星高校がリード。このまま終わるのか・・・と思っていた時、明らかに球場の雰囲気が変わった。東邦高校の一体感溢れる応援に、観客が魅了された。球場全体が、東邦高校を応援する拍手一色であふれる。私は、その瞬間を撮影し、記録に残すことにした。何かが起こるかもしれない、そう感じたからである。

 先頭バッターがヒットで出塁すると、ヒット一本に対する歓声とは思えない、まるで得点が入ったかのような声援が、球場中に響き渡っていた。光星高校のピッチャーも、計り知れないプレッシャーを感じたのであろう。東邦高校は見事にその勢いに乗り、2点差にまで迫るも、2アウトランナー1・2塁。しかし、ここで一番欲しかった長打が出た。同点タイムリー2ベースで9-9。続く打者がサヨナラタイムリー。9回裏、4点差を逆転する奇跡の逆転劇。事実上の決勝戦を前にして、ボルテージは最高潮になった。

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荒れに荒れた1日の終わり

見渡す限り人で埋め尽くされた甲子園。ついに第4試合が始まった。大阪と神奈川の高校同士の対決にもかかわらず、さすがは横浜高校。球場は、横浜高校と履正社高校を応援する人たちで、真二つに分かれていた。

試合は横浜が初回に先制するも、2回に履正社が逆転して3-1。ここでまさかの事態が起こる。恐ろしいほどの大雨・そして雷。中断を挟んだ後に再開されるが、再び雨が強くなり2度目の中断。さすがにもう厳しいのか・・・私も中止を覚悟したが、奇跡的に天気は回復し、再開。4回表で既に時刻は午後7時を過ぎていた。

第1試合の開始時間が30分早まったこともあり、ここ最近はナイターの高校野球というものはあまり見られなかった。午後7時台に突入することすら珍しくなったが、結果として、この試合が終わったのは午後8時25分。履正社高校が寺島の力投により5-1で勝利した。前日午後10時30分に甲子園に到着し、翌日午後8時25分までの滞在、おそらくこれからも経験することのない、特別な1日となった。

 

これまでにテレビはもちろん、球場でも数多くの試合を観戦してきたが、特に第3試合のような雰囲気を味わったのは、人生で初めてであった。言うまでもないが、やはり野球は球場の雰囲気、そして一体感、それらを味わってこそ、より楽しみを享受できるものになるのだと、この日を通して私は体感した。是非球場に行くことをためらっている方々には、一度足を運んでもらいたい。今までになかった新しい発見が、必ずそこには存在するからだ。

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